セブン・イヤーズ・イン・チベット

1997年の作品なのが惜しいですね。
北京五輪開催の時に散々話題になったんですが、公開があのタイミングだったらこの作品もさぞかし盛り上がったんだろうと思います。

実在するオーストリアの登山家が主人公の作品。
随所にちりばめられたすばらしい山岳の風景。
これが秘境チベットなのか。
すごい、すごいぞ。

セブン・イヤーズ・イン・チベット [DVD]
ブラッド・ピット, デビッド・シューリス, B.D.ウォン, マコ, ジャン=ジャック・アノー
B00005FXM9
この映画の撮影に関して中国政府は強く反対していて。
中国国内での撮影を一切拒否している。
監督は無断でこっそりチベットのラサに侵入して撮影したことを後に明らかにしているけど。(笑)
ちなみにこの映画は中国国内では上映禁止。
またこの映画の主役を演じたBrad Pittも未来永劫中国入国禁止とされたらしい。

ストーリーは。
登山家ハインリヒが身籠もった妻を残し、ヒマラヤ山脈へ向かうところからスタート。
頂上まであと少しのところで雪崩にあい、登頂を断念し、下山する。
しかし、下山してみると戦争が始まっていてイギリス軍の捕虜となり収容所に入れられてしまう。
奥さんが恋しくなり手紙を出すも、返事は「離婚届にサインをして送り返せ。生まれた子供はすでにあなた以外の男性をパパと呼んでいる。」と書かれており、自暴自棄になるハインリヒ。
何度も収容所から脱獄しようとするが失敗。
その後、大がかりな脱獄計画が収容所内で計画されていることを知り、それに便乗して今度は脱獄成功。
登山仲間2人で国境を越え、チベットに亡命する。

映画は前半はこの登山家ハインリヒの物語で。
後半はチベットでの7年間の亡命生活をまだ幼いダライ・ラマ14世と過ごす様子を描いている。
たぶんハインリヒは会ったこともない自分の息子をダライ・ラマに見ていたんでしょうね。
ハインリヒの前では無邪気な子供の笑顔を見せるダライ・ラマがすごく印象的でした。

そんな亡命生活にピリオドを打ったのが中華人民共和国の誕生とチベットへの中国軍の侵攻。
映画では中国軍の非道さ、卑劣さを描いています。
公開時の中国の非難を受けて、チベット人への虐殺シーンはダライ・ラマの夢のシーンだった、という風に「ぼかされ」て表現されてますけどね。
あれはきっと中国政府の非難を受けての配慮のように思います。
それでもこの映画は中国政府をかなり怒らせたらしいですけど。(笑)

天安門事件から20年というニュースを見ました。
ちょうどその時期にこの映画を観たのも因縁のようだな。

一見、自由なように見える中華人民共和国ですが。
その内情は我々日本人とは「大きく異なっている」ことを少しは知っておかなくちゃいけません。
北朝鮮のことも中国国内では友好国なのであの国のことを悪く言う人はいませんし。
普通に行き来してるわけですからね。
実は北朝鮮も「民主主義」共和国なんですよねー。(笑)
一党独裁政治であるところが共通なんですな。
反論とか違うイデオロギーが入り込むことは許されないので。
中国の平等、中国の人権、という感じで接頭語に「中国の」が必ず付加されるわけです。

チベットのことも真実は語り継がれません。
外国人が必死に「記録に残そう」とするだけで。
中国国内ではチベットについて議論されることも語り合うことも「禁止」ですから。

映画は「アンチ中国」なことばかりではなく。
そこはかとなく寂しいハインリヒの人間性についても触れられていて。
オーストリアに残してきた妻への想いや、見たこともない自分の息子への想い。
一緒に収容所から逃亡した友人はラサでよき伴侶を得て幸福な暮らしを始めるのに、いつまでも自分は孤独で、言いようのない疎外感を感じ続けていたハインリヒ。
映画のラストシーンでは、関係を修復した自分の息子とのシーンが撮影されていますが。
ハインリヒは今度は容易に近づけなくなったチベット・ラサ、ダライ・ラマへの想いを登山と登頂により表現しようとします。
親子関係が時間とともに修復できたように、チベット問題も時間が解決するのでしょうかね?
今ではチベットを追われてしまったダライ・ラマ。
ノーベル平和賞まで受賞しているのに中国では「悪魔の使者」ですからね。
いったい何が真実なのか?
その多くの闇に消された真実の一端がこの映画の中にあるのかもしれないですな。

必見な映画でしょう。
語り継がれていくべき名作。

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