2013年8月19日月曜日

クレイジーズ

原作は巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の1973年の作品「ザ・クレイジーズ」。原題は「THE CRAZIES/CODE NAME: TRIXI」。
あのあまりにも有名な「ゾンビ」は1978年の作品なので、その辺の背景を考えて観るとさらに面白い。
(白黒映画のナイト・オブ・ザ・リビング・デッドは1968年の作品なので、死人が蘇る、というキャラの確立はもっと以前からであった。)

ロメロ!オリジナルはまだ未鑑賞。
軍が秘密裏に製造していた「細菌兵器」を積んだ飛行機が、アメリカの田舎町の湖に墜落。
その細菌が湖に流れ出てしまう。
田舎町の水道水はこの湖から取水していたので、細菌が町中に蔓延してしまう。
水を飲んだ住人は、みな凶暴になり、発狂し、残忍になって、暴れまわる。
事態を何とか「消してしまいたい」軍は、この町ごと「封じ込め作戦」を使って「なかったこと」にしようとする。
なんとか感染を逃れた保安官(ティモシー・オリファント)と妻(ラダ・ミッチェル)の必死の逃走劇と描いている。
監督はブレック・アイズナー
ロメロ流?なのか?低予算っぽい作品。
特殊メイクも多くなく、派手なCGなんかも出てこない。
ゾンビは出てこない(当たり前)のですが、発狂した人間はたくさん出てきます。(汗)

面白いのが、感染したのか?してないのか?がどんどんわからなくなる、というポイント。
一緒に逃げている非感染者も「空気感染するのかも?」という疑心暗鬼とストレスからくる苛立ち。
その苛立ちによる暴言や暴動なんかを見た他の人間が「あいつは感染したんじゃないか?」と猜疑心を持つようになる。
これがゾンビと違って「感染してるのかしてないのか?」がわからない恐怖を生んでた。

しかし、ストーリーはこの「恐怖」をあまり上手に描ききれず、あっさりと保安官と保安官補のやりとりだけで終わらせてしまう。
なぜ、保安官と妻の間で、この「恐怖」を描かなかったのか?
残念でしかたない。
クレイジーズ
誰も感染してません。
いっしょに数人で逃げるんですが、もう最初から「死亡フラグ」立ちまくりなので。
主人公夫妻以外は全員死ぬんでしょ、ええ、どうせそうでしょうよ、ってな匂いがプンプン。
これはロメロ風と言えるんでしょうけど、惜しむらくは、「誰も感染しなかった。」(保安官補もしてなかった?)ことでしょう。
ロメロ風ヒューマニズムドラマだと、必ず、愛する人や身近な人が感染し、主人公がそいつを殺す、というシーンを盛り込んでくれるはず。
原作を観てないのでわかりませんが、リメイク版が原作通りのシナリオなんでしょうかね?
いろいろ書きましたが、面白かったです。
さすがロメロ!
最近、鑑賞した「ワールド・ウォーZ」でもパンデミックの恐怖を描いてましたが、この「クレイジーズ」も同じ。
そしてその発生源は軍がもたらしたもので自然災害ではない、というわけで。
「封じ込めて」なにもかも「消し去って」しまえ!な「後処理」の感覚は実にアメリカン。

そして、いつも主人公の保安官は妻に「少しの間、ここで待っていろ。」と言って、妻を独りにして、必ず妻は襲われますが。
学習能力ないヤツやなぁ…って思って観てました。(笑)
そして、「待ってろ」と言われて、頷いて待ってる妻も「あんた、そのパターンで何度も襲われてるやん?」ってツッコミ入れたくなりました。(汗)
ああ?ひょっとして、こいつら、、クレイジー?!ってオチかなぁ?と…(^_^;)
クレイジーズ
どうせおいらはクレイジー!
エンディングは「救いようのない世界」を描ききりましたね、ブラボーです。
これもロメロ風なのでしょう、名作ゾンビの最期に近い鑑賞後感。
レンタルであったら借りて観ましょう!



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