2014年1月31日金曜日

The Battery

「ザ・バッテリー」
2012年の作品。
現在も日本では未公開だし未発売?のようなのでなかなか観る機会が少ないのかも。
少し前に流行った「低予算ムービー」のようです。

舞台はたぶん近未来?といっても何十年も先じゃない、遠くない未来。
アメリカの田舎、コネチカット州。
何とも、、現代的?なヒッピーのような若くもなく、かといって年寄りでもない、オトコがフタリ。
だらだらと歩く、、というより蠢いてる?シーンからスタート。

リュックを背負い、ヘッドホンで音楽を聴いているのがミッキー。
ヒゲもじゃで少し大柄なのがベン。
二人は元野球選手のチームメイト。
といってもベンは正捕手。
ミッキーは控えのピッチャー。
そう、タイトルのバッテリーは「ピッチャーとキャッチャー」の意味。

登場「人物」はこの二人で98%。
他にチョイ役で3人ほど出てきます。
残りは全部「人間」じゃない。
予算6000ドルで出来た映画らしいです。

河原で遊んだり…
全体的にセリフ少なめな作品で。
(後半には長回し箇所もありますけど。)
なんだか観ててとても不思議な気持ちになれる作品。

あ、そうそう。
書き忘れてましたが。
ゾンビ映画」です。(笑)

ただし、ワールド・ウォーZバイオハザードのように、ゾンビが蔓延る世界に立ち向かいません。
あまつさえゾンビを助けようとかゾンビを治そうとか退治して駆逐しようとか。
いっさいそんなことは考えません。
あてもなくウロウロと徘徊
そう、このミッキーとベンは、このゾンビだらけになり崩壊してしまった人間社会に対して「何もしない」のです。
普通に生きてみよう、としてるだけ。

二人は放浪する前に、2階建ての家に三ヶ月も閉じ込められた経験があり。
家の周囲がゾンビだらけになってしまい、家から出られない状態をトラウマとしてるため。
「もう閉じ込められるのはいや」なのです。
ベン曰く、「サメのように徘徊し続ける、止まったら死ぬ。」というわけです。

経済社会は崩壊してるので、欲しいものがあれば家に押し入って奪うだけです。
幸いこの映画のゾンビは初期型ゾンビで動作は遅く緩慢でよほどでない限り窮地に陥ることがないわけです。走れば逃げられる程度のゾンビですから。

ただし。
時間の経過とともに、二人の性格の違いが顕著に。

ネガティブな考え方のミッキー。
野宿生活に嫌気が差してきて、家で寝たいと言い出したり。
一所に落ち着きたい、という願望も芽生えだす。
また女性への想いが強くなり。
忍び込んだ家のタンスから女性用下着を盗んだり、とかなり内向的。
マイナス思考なミッキー
ミッキーはゾンビを殺すことが出来ない。まだ人間だと感じている。

一方、ベンは

何事もポジティブ。
ゾンビだらけの世の中になっても悲観することなく。
やりたいようにやって生きたいように生きる、悪く言えば行き当たりばったりな感じ。
ゾンビに対しての想いなど微塵もなく平気でバットで殴り殺したり、おちょくって遊んだりすら出来る、図太い神経の持ち主。
アバウトなベン
だいたいサバイバル状態になるとベンみたいな性格は生き残れるけどミッキーは無理。
この作品でもベンがミッキーを助けてるわけだけど。
ミッキーは次第に、友人のベンが「疎ましく」感じるようになる。

そんなある日。
盗んだ無線機で遊んでいると、混信し、偶然、別の会話を受信する。
「映画でも観ないか?」
「何の映画?」
「トレマーズなんてどう?」
男女の会話だ。

ミッキーは眼の色が変わった。
自分たち以外に生存者がいる。
女性の名前は「アニー」。
「ハロー!アニー!!ボクはミッキーだ!」
と無線で話しかける。
しかし返事がない。
男の声で「俺達に話しかけるな。詮索するな。探したら殺す。」と脅されるミッキー。

ベンは自分たち以外の生存者にはまったく興味が無い。
なぜならそれはゾンビより質の悪い「敵」だとわかっているから。
ゾンビは動きはのろいし、閉めたドアは入ってこない。
しかし人間は違う。
奪うし、傷つけるし、壊す。
ベンはミッキーに「そんなアニーなんてオンナは探すな。」と怒鳴る。

さすがにミッキーも探すアテなんて無かったし。
どうすることもできなかった。
ただ、頻繁に無線機で「アニー、応答してくれ。」と話しかけることしかできなかった…

アニー、応答してよ!
というアラスジです。

ここまで読んで。
「ミッキーとアニーのラブ・ストーリー」に発展する?と思ったヒトは大間違いです。
そんな「甘いストーリー」にはなりません。
なんて言ったって、ここはゾンビが蔓延る世界。
世界はもう終わっているわけですから。
そこに恋愛なんか微塵も必要ないわけです。
生きるか死ぬか。
奪うか奪われるか。
これだけなのです。


なんでもないシチュエーションの作品でも、たったひとつ、、「ゾンビな終末」というスパイスを加えただけでとんでもない変化を生み出した、という作品でしょう、面白かったです。
ゾンビ映画なのですが恐いとかそういうのは無いです。
不思議な分野?なのではないでしょうか?
ホラー映画の分類に入るのかもしれませんけど、ホラーだと思って観ると肩透かしを喰らいますね。

努力しても今以上な世の中には、もう成らない

という怠惰感が全体に漂っていてステキです。

ストーリーは後半になって、前半のダラダラ感から一気にボルテージアップしますけど。
アップした状態でもベンとミッキーは、飄々と、ダラダラと生き抜いて見せました、あっぱれ。
なんだかんだと、ボクは二人とも「精一杯、生きたよ!すげえな!」って褒めてあげたいっすね。

DVDが発売されてないのでなかなか観れないかもだけど、チャンスが有れば必見の作品。