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世界的名作ですよね。
high-definition版で観ました、良かったなぁ。
ドイツの作家「ギュンター・グラス」の長編小説を映画化したものです。
舞台はナチス党が出現してくるころの話し。
第2次世界大戦、戦前、戦中、戦後の話です。
第52回アカデミー賞外国語映画賞受賞(ドイツ映画ですもんね)
JAPANの名アルバムで同名の「ブリキの太鼓」がこの映画の影響なのは有名な話しですよね。
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この映画の感想でよく聞くのが「不気味」とか「グロい」とかいう感想なんですが。
2度3度と観ると違った感じ、味わい?みたいなのが沸いてきます。
それはどことなくノスタルジーから来る「悲しさ」みたいなのが。
なぜ?
1924年生まれ。
自分が生まれる瞬間を完全に「覚えている」赤ん坊、オスカル。
3歳の誕生日に「ブリキの太鼓」を母親からプレゼントされる。(21歳まで太鼓は肌身離さなかった。)
彼は周囲の大人たちを観て「こんな大人になんかなるのはゴメンだ」を思い、自ら成長を止めてしまう。
そして自ら止めたことを悟られないように階段から転落し、事故で頭を強打したため成長しなくなった、と周囲の大人たちを騙すことに成功する。
当然、激しいまでに周囲の子供たちに虐めをうけるオスカル。
次第に心を固く閉ざし始める。
彼にはもう一つの「特技?」があった。
それは声。
甲高い悲鳴にも似た声を発することで離れたガラスなどを粉々に粉砕することができるという超音波かい?!ってな能力。
彼はその「まん丸」な瞳でいろいろな大人たちの日常を見続ける。
母親の不倫。
父親は父親ではなくひょっとしたら不倫相手がオスカルの父親では?
太鼓を打ち続けるオスカル。
だんだんと戦争の方向へ向かいつつある街の大人たち。
自分の同級生たちはどんどん戦争へ進んでいく、でもオスカルは子供のままだ。
オスカルの母親は不倫のはてについに不倫相手の子供を身籠もって、それを悩んで自殺してしまう。
それでもオスカルは太鼓を叩き続ける。
きっとオスカルは太鼓を打つ、という行動で「この世のバカらしさ、大人たちの日常のくだらなさ」を嘲笑う気持ちで太鼓を打ち続けたのか?
父親はナチス党の党員になり、すっかり「戦争バカ」に成り下がる。
自分の本当の父親かもしれない不倫相手の「ヤン」も1939年のポーランド郵便局襲撃事件で銃殺されてしまう。(殺される前に発狂してたっぽいな。)
やがて母親代わりとして16歳の少女マリアがやってくる。
オスカルの初恋の相手はこのマリア。
しかし、父親と再婚されてしまい、初恋の相手は義母となってしまう。
その後、オスカルは小人の芸人達と行動を共にし、パリに行く。
同じ仲間の女性ロスヴィーダと恋に落ちる。
幸福な日々も長く続かず米軍の爆撃を受けロスヴィーダは死んでしまう。
恋人を失ったショックで故郷に戻ることにしたオスカル。
そこには3歳になったマリアの子供(オスカルの弟だがオスカルは自分の子供だと思っている。)クルトがいた。
最後にはソ連兵に撃ち殺された父親の葬儀の最中に「自分はもう孤児になってしまった」と太鼓を父親の棺に投げ入れ「成長すること」を決意する。
これらは映画では語られていないけど。
小説では「精神病院の住人」として自分の生きてきた状況を語る、というスタイルの物語なんだそうだ。
そしてもっと驚いたことにこの作品の監督「フォルカー・シュレンドルフ」によると。
主人公のオスカルを演じたダーフィト・ベンネントは「小人症」で実際には11歳なんだそうだ。(汗)
子役ではなく、本物(という表現がいいのか?)なんだそうだ。
不気味、といえばたしかに不気味。
しかし、なぜ、そうなのか?と言えば「幾通り」にも解釈することはできるんだけど。
そのどの解釈もがさらに新たな疑問を生んでしまう。
ドイツ映画らしく「ハッピーエンド」で終わらない。
不幸は不幸なまま終わってしまう。
太鼓を捨てたあとオスカルはどうなってしまったのか?
おばあさんが「西へ行きなさい」と言い、初恋の女性マリア(しかし戸籍上母親)と弟(しかしオスカルは息子だと思っている)の3人で汽車に乗り西へ。
ここでこの作品は終わっている。
すごい。
すさまじさだ。
腕組みしながらじっくりと魅入れました。
観るのは2度目で20年ぶりぐらいかなー
色彩も綺麗な映像でした、おすすめ。
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